自然現象の中でマイナスイオンだけを生成するものがある。滝などの水しぶきが発生するところにマイナスイオンが多く生成されるレナード効果もそのひとつだが、そのほか地殻の放射性物質や宇宙線などによっても生成される。
(1)レナード効果:水滴がさらに小さな水滴に分裂するときなどのように、水がその表面積を変えるとき、分裂した水滴自身はプラスに帯電し、周囲の空気はマイナスに帯電する。これをレナード効果(Lenard's
effect)という。
水滴の表面には電気二重層が常に存在し、水滴表面はマイナスに、これと接する外側の空気はプラスに帯電している。分裂などで新しい水面が空気に触れると、電気二重層のため、空気中のプラスイオンが水滴面の外側に奪われる。このため結果として空気はマイナスに帯電し、マイナス(空気)イオンが生成される。
(注)電気二重層:固体と液体など2つの異なる相が接触したときに、その境界面にプラスとマイナスの電荷が分子レベルの距離を隔てて存在する状態をいう。
(2)エマナチオン:地中にはラジウム系の物質(ウラニウム、ラジウム、アクチニウム、トリウムなど)が広範囲にわたって存在し、この崩壊物質が気体となって地殻を通して現れたものが「エマナチオン」とよばれる。エマナチオンは、大気中に出るとさらに崩壊するが、このときにアルファ線、べーター線、ガンマー線を放出して空気をイオン化する。気圧が高気圧から低気圧へ変化するときにマイナスイオンが発生するのは、地中のエマナチオンが空気とともに地表に出てくるためだ。
(3)紫外線や太陽光線一紫外線は大気を通過するときに気体を強くイオン化する。また太陽光線の光電効果(固体にある波長の光があたると電子を放出する現象)により、イオン生成が行なわれる。
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